江戸川乱歩賞、第15回受賞作、『高層の死角』







江戸川乱歩賞を受賞する秘訣の一つは、
「自分が熟知している世界」を、
日常の謎に絡めて描くことである。


この点で優れているのが、昭和44年第15回乱歩賞を、
受賞した森村誠一作、『高層の死角』である。


ホテルマンの経験を活かし、ホテル業界の内部事情や、
業界用語が分かりやすく読者に提示され、しかも、
それが事件のカギとなっている本作品は、高く評価され、
森村誠一の名を、世間に知らしめることとなった。


その後、角川書店の本と映画の、
メディアミックスの先駆けとなった、



・『人間の証明』
・『野性の証明』



の大ヒットで、ベストセラー作家への道を、
駆け上がることとなる。


高層ホテルの社長が、自社ホテルで刺殺された。
部屋は完全な密室状態。


捜査陣は、社長秘書に疑いの目を向けるも、
彼女には、捜査員の刑事と過ごしていたという、
完璧なアリバイがあった。


しかし、その秘書も直後に、遠く離れた福岡のホテルで、
死体となって発見される。


死んだ彼女と自らの誇りをかけて、
犯人を追う刑事が掴んだ真相とは――。


一つのトリックを解明しても、
また次のトリックが出てくるという様に、
二重三重に張り巡らされた犯人の罠が、
読者にページをめくらせる。


途中で中断しないぐらい読み進められる本が、
いい本だと言われるが、本書はまさにそういった、
ノンストップで読み進めたくなるような、一冊だ。


3度テレビドラマ化されるなど、
根強い人気を誇っている本作品は、
歴代乱歩賞の中でも、”傑作” との呼び声高く、
今日でも多くの読者を魅了している。


是非、一度は読んでいただきたい小説だ。